ひとりのよるに

あ、言い忘れていたんですけども、

ボクって兄と弟と妹がいるんですね。

お母さんがんばったなー、だとか

昭和？ねえ昭和なの？だとか

そんな声が聞こえてきそうなんですけども。

気にせず今日は弟の話でもしましょうかね、ええ。



弟とボク、まあ、そんな仲はよくないです。

なんでこんな仲悪かったんだっけー、と思い起こせば、

どうやらボクが彼を病院送りにしたからみたいです。

事情が事情なので伏せますけど、ええ。



なんというか、彼は才能の塊でした。

かけっこをすれば誰よりも早いし、

算数の難しい問題だってすらすら解く。

高校に入ってもそれは変わらず、

体力テストで学校一の成績を残したり、

ラグビー部に入って全国ベスト4になったり。

おまけに身長は高いし顔もまあまあ。

自信に満ちたりたその態度が欠点ですが、

コンプレックスの塊のボクが、

彼を妬むのに時間はかかりませんでした。

住む世界が違うのか、話も合いません。

ボクが大分へ、彼は山口へ行くと、

ますます疎遠になってしまいました。



そんな彼も今は静かに眠っています。

…あ、まだ生きてました。

不謹慎でしたね、すいませんすいません。

寝てるだけみたいです。

電話しても「ツーツーツー」としか言いませんし。

いやいや、着信拒否されてるなんてそんなことはないですよ。

…ないと思います。



さて、そんな彼とボクですが、

最近になってちょっとずつ変わりつつあります。

それは実家に帰ってヒマがあれば一緒に飲むようになったこととｍ

1ヶ月に1回ずつ電話をくれるようになったこと。

電話をくれるといっても、せいぜい

「なあ、バイトってどがんとがよかと？」やら

「なあ、上下ジーパンっておかしい？」といったものです。

その都度適当に答えてあげます。

「ああ、ハブとマングースショーの係員はいいぞ。」

「ああ、その組み合わせならサイコーだ、モテること間違いなしだ。」と

ようやく人生の先輩面ができるようになりました。

彼に追いつかれないためにも、

人生経験を積んで生きたいと思います。

そのためにも今からマラソンしてきます、全裸で。